発売日の朝から書店に行列ができ、「どこにも売っていない」という声が相次いだ『週刊少年ジャンプ』33号。

ここまでの大規模な品薄は異例で、SNSでは「転売ヤーのせいでは?」という声も急増しました。

しかし、今回の完売騒動は転売だけでは説明できません。

ONE PIECEカードゲームの限定付録、人気作品『アオのハコ』の最終回、そして想定を超える需要が同じタイミングで重なったことが、大きな理由と考えられます。

では、なぜここまで異例の事態になったのでしょうか。ここから、その背景を一つずつ整理していきましょう。

ジャンプ33号が完売続出した一番の理由

まず大きかったのが、ONE PIECEカードゲームの限定プロモカード「モンキー・D・ルフィ(P-159)」の付録です。

今回は『ONE PIECE』連載29周年を記念した特別カードで、エルバフ編の衣装をまとったルフィが描かれた限定デザイン。1冊につき1枚だけ封入されています。

普段はジャンプを購入しないカードコレクターまで動いたことで、需要は一気に拡大しました。

さらに発売前から予約が埋まり、「発売日に店へ行かないと買えない」という状況に。

雑誌そのものではなく、「限定カード付きの商品」として注目されたことが、今回の異例の完売につながったといえるでしょう。

転売だけではない?需要が一気に膨らんだ背景

ここで見えてくるのが、需要の重なりです。

SNSでは「転売ヤーのせい」という声が多く見られます。

確かに、フリマアプリでは発売前から高額出品が確認され、転売目的の購入も需要を押し上げた要因の一つです。

ただ、それだけでは今回の現象は説明できません。

実際には、ONE PIECEカードゲームのプレイヤー・コレクター、普段からジャンプを読む読者、そして「アオのハコ最終回を紙で残したい」ファンという、普段は重ならない複数の層が一斉に同じ一冊を求めたことが特徴です。

通常なら別々の商品を購入する人たちが、今回は一つの雑誌へ集中しました。

だからこそ、供給が追いつかなくなったわけですね。

「転売が悪い」という話だけではなく、需要そのものが普段とはまったく違う形になっていたことも見逃せません。

アオのハコ最終回も品薄を後押しした

もう一つ見逃せないのが、『アオのハコ』最終回の掲載です。

約5年間続いた人気作品が、この号で完結しました。

「最終回だけは紙で読みたい」

「記念として保存したい」

そんなファンも少なくありませんでした。

実際、SNSでも「カード目的ではないのに買えなかった」という声が目立っています。

ここが、今回の騒動で残念に感じられたところなんです。

カードを目当てに購入する人もいれば、作品の節目を紙で残したい読者もいます。

どちらも自然な楽しみ方ですが、一方の需要が急激に高まったことで、もう一方が手に入りにくくなってしまいました。

50万部増刷でも足りなかった理由とは

ここで注目したいのが、集英社の対応です。

需要の高まりを受け、通常より約50万部を増刷する異例の対応を取りました。

それでも、多くの書店では発売日に完売し、一部店舗では抽選販売まで実施されています。

通常なら、増刷によって品薄はある程度解消されます。

しかし今回は、限定付録という「今しか手に入らない価値」が需要をさらに押し上げました。

SNSで売り切れ情報が広がると、「今買わないと本当に手に入らない」という心理も働きます。

その結果、需要がさらに集中し、増刷分もすぐに吸収される状況になったというわけですね。

雑誌が買えない時代が映した読者の本当の不満

最後に考えておきたいのが、読者が感じた不満の中身です。

今回のニュースで目立ったのは、転売への怒りだけではありません。

SNSには、

 

  • 「普通にジャンプを読みたいだけなのに買えない」
  • 「アオのハコ最終回を紙で読みたかった」

 

という声も数多く見られました。

読者が不満を感じたのは、欲しい物が買えなかったこと以上に、本来の楽しみ方をしている人ほど手に入りにくかったという状況ではないでしょうか。

最近は雑誌に限定カードや特典が付く機会も増えています。

こうした企画は作品の魅力を広げる一方で、本誌を読みたい人と特典を求める人の需要が重なるという課題も生み出しています。

今回のジャンプ33号完売騒動は、ONE PIECEカード人気の大きさを証明した出来事でした。

同時に、一冊の雑誌が「読むもの」と「集めるもの」の両面を持つようになった今、必要なのは部数を増やすことだけではないのかもしれません。

それぞれの読者が公平に手に取れる仕組みづくりも、これから考えていくべき課題といえそうです。