NHKスペシャルなどで取り上げられた富士山噴火のシミュレーション映像を見て、「うちは大丈夫なの?」と不安になった方も多いのではないでしょうか。

東京は富士山から約100kmほど離れているので、溶岩が流れてくることはありません。

でも、だからといって安全かというと、そうでもないんです。

東京が直面するのは、じわじわと積もり続ける「火山灰」という、地味だけれど生活を根こそぎ変えてしまう脅威です。

鉄道が止まり、道路が使えなくなり、水道も電気も当たり前には使えなくなる。

そんな現実を前に「いったい何を準備すればいいの?」と途方に暮れる気持ち、よくわかります。

この記事では、東京在住の方にとって今すぐ揃えておくべきものを具体的な数字とともに紹介していきます。

「防災グッズは揃えたいけど、どれが本当に必要かわからない」という方に、少しでも役に立てたら嬉しいです。

東京の富士山噴火対策でまず揃えるべき物

東京で富士山噴火に備えるなら、最優先で揃えるべきは3つ

  • 防塵マスク(N95以上)
  • ゴーグル

「え、食料じゃないの?」と思った方もいるかもしれませんが、少し考えると納得できるはずです。

2025年に内閣府が公表した「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」でも、在宅避難を基本としながら、降灰量に応じた4段階のステージで対応を分けることが示されています。

30cm以上で原則避難ですが、それ未満は自宅で生活を続けることが前提です。

つまり避難所に駆け込むより、家の中でどれだけ生き延びられるかが鍵になってくるわけです。

東京に降り注ぐのは溶岩でも火砕流でもなく、細かくて軽い火山灰です。

風向きが悪い場合の想定では、新宿周辺でも噴火から2日後には5cm以上の降灰が予測されています。

たった5cmと思うかもしれませんが、この量で鉄道はすでに止まっています。

微量の灰でも鉄道の信号トラブルや踏切の動作不良を引き起こすことは、桜島や新燃岳の事例でも確認されています。

物流が止まれば、コンビニやスーパーの棚はあっという間に空になります。

灰が降りしきる中で外を歩けば、吸い込んだ微粒子が肺を傷つけてしまいます。

この3点に対処するのが、マスクと水とゴーグルいうわけです。

これさえ手元にあれば、少なくとも数日間は安全に自宅で過ごせる見通しが立つのではないでしょうか。

防災は「完璧な準備」を目指すより、「最悪の状況で一番困るものから揃える」という考え方が長続きのコツかもしれません。

なぜ東京ではN95マスクが必須なのか

マスクの重要性はなんとなく知っていても、「どうしてN95じゃないといけないの?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

ここでは、その理由をしっかりお伝えしたいと思います。

火山灰は「砂埃」とは別物

火山灰と聞くと、掃除すれば終わりの「砂埃」のようなものをイメージしがちです。

でも実際は、ガラス質の微細な粒子が集まったもので、顕微鏡で見ると鋭い刃のようにギザギザしています。

これが気管や肺に入ると、時間をかけてじわじわとダメージを与えていくのです。

正直、これを知ったときには驚かされました。

通常の不織布マスクでは、この微粒子を防げません。

市販の一般的なマスクは花粉や細菌向けの設計なので、1マイクロメートル以下の超微細粒子はすり抜けてしまいます。

火山灰にはこの微細粒子が大量に含まれているため、必要なのはN95規格(日本ではDS2相当)の防塵マスクになります。

医療現場でも使われる、微粒子をほぼシャットアウトできる高性能なタイプです。

用意する量の目安は、家族全員分プラス予備で20枚以上です。

噴火活動が約2週間続いた記録が宝永噴火に残っており、灰が降り続ける中で毎日マスクを交換することを考えると、「多すぎるくらい」がちょうどいいかなと個人的には思います。

 

女性用・子供用は商品が少ないのですが3M製品ではこちらです。

我が家は子供が3人いるので大人用以外にも揃えています。

 

 

ゴーグルも同時に必要な理由

目への対策も、セットで考えておく必要があります。

火山灰が目に入ると、細かな粒子が角膜を傷つけるリスクがあります。

コンタクトレンズを使っている人は特に注意が必要で、灰がレンズと目の隙間に入り込んでしまうことも考えられます。

外出時には、隙間のない「無気孔型ゴーグル」を用意しておくのがおすすめです。

水泳用や工事用に近い、目の周りをぴったり覆うタイプが理想的で、普通のサングラスやメガネではサイドから灰が入ってきてしまいます。

おススメは以下で、眼鏡併用可という点と作業用品の専門店が出している商品なので安心です。

私は一応大人2人分揃えました。

子供を外に出すという事はないと考えつつ、大人で1つを使いまわすというのも不安だったので予備というのも含めて2つです。

あと子供たちはそれぞれ水泳用のゴーグルを持っているので、最悪代用できるかな?と思ってます。

 

在宅避難を支えるローリングストックのコツ

東京で富士山噴火が起きた場合、在宅避難が基本になります。

降灰による直接の命の危険は比較的低いため、灰が舞う中を移動するほうが健康被害のリスクが高まります。

だからこそ、自宅にどれだけのものを備えておけるかが、生活の質を大きく左右するのです。

なぜ最低2週間分が必要なのか

物流は降灰が数cmを超えた時点でほぼ機能しなくなります。

道路に積もった火山灰は、乾燥しているとタイヤが滑り、雨が降れば粘土状になって車が動けなくなります。

トラックが走れないということは、コンビニもスーパーも補充できないということです。

内閣府の想定では、噴火活動が2週間継続する可能性があります。

最低でも7日分、できれば14日分の食料を備えておくのはそのためです。

給水車も、道路が灰で覆われた状況では到着が大幅に遅れる可能性があります。

「まだ大丈夫だろう」と思っていると、気づいたときには何も手に入らない状況になっていた、なんてことにもなりかねないでしょう。

下の写真は鹿児島の桜島が小規模噴火をおこした際の町の様子です。

小規模でこんなに灰だらけ・・・大噴火となればどうなるか想像するだけで怖いですよね。

画像引用:時事通信

「ローリングストック」が無理なく続く理由

「14日分の備蓄」と聞くと、倉庫みたいな量を用意しなければいけないイメージがあります。

でもローリングストックなら、そんな心配は不要です。

特別な非常食を買い込むのではなく普段食べているレトルトカレーや缶詰、インスタント麺を少し多めに買い置きしておくだけです。

食べたら補充する、というサイクルを日常に組み込むのがポイントです。

賞味期限切れの心配もなく、初期費用も一気にかかりません。

カセットコンロのガスボンベは、1週間分として6〜12本を目安に揃えておくといいでしょう。

停電でIHや電子レンジが使えなくなっても、カセットコンロがあれば温かいものが食べられます。

火を使わなくても食べられる栄養バーや缶詰も一緒に揃えておくと、停電が長引いたときの保険になります。

 

マンション住まいが注意すべきトイレ事情

食料や水の備えは思い浮かんでも、意外と見落とされがちなのがトイレです。

特にマンション住まいの方にとって、これが思った以上に深刻なリスクになる可能性があるのです。

盲点になりがちな「トイレ問題」

火山灰は水と混ざると粘土に近い性質を持ちます。

雨が降れば排水管の中にも灰が流れ込み、詰まり始めると下水処理場全体の機能が低下します。

マンションの排水管に逆流や閉塞が起きることも、十分に考えられる事態です。

さらに停電が重なれば排水ポンプが動かなくなり、水洗トイレ自体が使えなくなるケースも出てきます。

「外のトイレに行けばいいか」とはいかないのが、降灰中の東京の状況です。

灰が降り続ける中でゴーグルとマスクをつけて外を歩くのは、かなりの体力と覚悟が必要になります。

 

簡易トイレはこれだけ必要

備えておくべき量の目安は、1人1日5回分×日数分です。

家族4人で7日間なら140回分程度になります。

実際の使用を考えると、少し多めに準備しておくと安心ではないでしょうか。

選ぶときは凝固剤付きの袋タイプが衛生的で扱いやすく、処理後は密封してゴミに出せるものが便利です。

もうひとつ大切なことがあって、噴火の情報が出た段階でできるだけ水洗トイレの使用を早めに控えるという判断も必要です。

排水管は一度詰まると復旧に時間がかかるため、早め早めの対処が部屋全体を守ることにつながります。

ベランダや換気口からの灰の侵入防止も合わせて、養生テープや不織布での目張り資材を事前に用意しておくといいかもしれません。

 

 

今日1つだけ買い足すなら水を選ぼう

最終的にひとつだけ選ぶとしたら、迷わず水です。

「飲む水」だけじゃない水の役割

備蓄の目安は、1人1日3リットルです。

東京都の公式でも同じ基準が示されています。

宝永噴火が約2週間続いた記録を踏まえると、可能なら14日分を目指すのが理想です。

「飲料水」を思い浮かべがちですが、生活水としての水も同じくらい重要です。

断水が起きると、歯磨き・手洗い・料理・簡易トイレの後片付けまで、日常のあらゆる場面で水が必要になります。

4人家族で14日分なら168リットル以上、生活用水まで含めるとさらに多くなります。

水道についても触れておくと、浄水場は火山灰が混入すると処理能力が急激に低下します。

過去の有珠山(1978年)の事例では、約1cmの降灰で一部浄水施設が目詰まりし、給水停止に至ったケースがあります。

東京の浄水場は設備が整っているため同じとはいえませんが、停電と重なれば水質悪化や給水制限のリスクが高まるのは確かです。

 

今日から始められる一番小さな一歩

「168リットルも用意できない」という方がほとんどだと思います。

でも今日、ペットボトルを6本だけ多めに買うことから始めれば十分です。

それがローリングストックの入り口になります。

噴火のニュースが流れた瞬間、スーパーの水コーナーが空になるのは、大型台風や地震のたびに繰り返し見てきた光景です。

あの光景の中で焦って走り回らなくていいように、今日少しだけ動いておく。

それだけで、もしものときに自分と家族を守る余裕が生まれるのではないでしょうか。

怖い情報を前にしたとき、人は「知らないふり」と「知って動く」のどちらかを選びます。

まずは水を1本、今日買い足すところから。

それが「灰色の悪夢」に備える、一番現実的なスタートラインだと思っています。

最新情報は東京都の「Tokyo富士山降灰特設サイト」や内閣府の資料で確認するのがおすすめです。

風向き次第で影響が大きく変わる災害なので、定期的にチェックしておく習慣をつけておくといいでしょう。