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熊本にワンピースの銅像があるのはなぜ?その理由と復興10年目プロジェクトの全貌を解説

熊本地震から、まもなく10年。

節目の年をむかえるにあたり、熊本では今、ある大きなプロジェクトが動き出しています。

 

復興のシンボルとして、熊本県内各地に設置されたワンピース像。

その存在には、観光やPRをこえた深い“意味”があるんです。

 

そして2026年には、復興と歩んだ10年の記録をたどる特別な企画展も予定されています。

 

なぜ熊本にワンピース像があるのか。

その問いの先にある、想いと歩みの10年。

あの震災が過去のものにならないために、この節目の年に振り返りながら語り継げたらと思います。

 

熊本にワンピース像がある理由とは?設置のきっかけと背景

熊本県のあちこちで出会うことが出来る「麦わらの一味」の銅像たち。

最近では国内のみならず外国人観光客にも大人気のスポットになっています。

 

はじめて見た人はきっと思うはずです。

え?なんで熊本にワンピースの像があるの?

しかも、1体や2体じゃありません。

なんと、県内10か所に等身大のキャラクター像が設置されているんです。

 

これは、ただの観光用オブジェではありません。

そこには、熊本地震からの復興を願う強い想いがこめられています。

 

2016年4月14日と16日。

熊本は、2度の震度7という未曾有の大地震に見まわれました。

その当時埼玉に住んでいた私は、14日の21時半ごろスマホに「地震速報 熊本で震度7」という表示に愕然とし、まさか熊本で!?ウソでしょ・・・とただただ動揺するしかなかったのを覚えています。

大きな被害を受けた故郷の状況を映像でみるたびに涙がツーとながれ、何もできない自分の無力さや被災地になってしまった熊本への悲痛な思いがあふれ、なにも手につきませんでした。

 

その翌日、地元・熊本市出身の『ONE PIECE』作者、尾田栄一郎さんの被災地の人々に向けた励ましの直筆メッセージが、届いたんです。

「必ず助けに行く」

画像引用:熊本復興プロジェクト公式サイト

 

このメッセージに、どれほど多くの熊本県民が希望をもらった事でしょう。

 

その後、熊本県と尾田さんの協力でプロジェクトが発案されたのが2016年。

つぎの年にかけて準備が進み、2018年から本格的に銅像設置がスタートしました。

 

プロジェクト内では、熊本を「ヒノ国」と名づけ、ルフィが仲間たちに復興支援をたのむというオリジナルストーリーも用意されています。

 

たとえば、医者のチョッパーは動植物園に。

考古学者のロビンは震災ミュージアムに。

 

それぞれのキャラが「その場所にいる意味」を持って立っているのです。

ただのファンサービスではありません!

 

設置当初は、「銅像なんてムダじゃないか?」なんて声もありました。

でも、今では年間30万人以上が訪れる観光スポットに成長しています。

 

なかでもルフィ像だけで年間約10万人が来場。

熊本県市によれば、経済波及効果は年間約35億円(2024年時点)にもなるそうです。

 

漫画のキャラ像が、ほんとうに人を動かしている。

それは、復興という現実と物語のちからが手をとりあった、まれな例かもしれません。

尾田栄一郎の支援がすごい!寄付や復興プロジェクトの全貌

「漫画家の支援」と聞くと、

イベントでコメントをよせたり、ポスターを描いたり……

そんな“ちょっとした応援”をイメージしませんか?

 

でも、尾田栄一郎さんはケタちがいでした。

それもそのはず。ONE PIECEの作者であり、熊本出身でもある尾田さんにとって、復興はじぶんごとだったのです。

 

すべての始まりは、震災発生翌日の2016年4月17日。

尾田さんは公式サイトで、「必ず助けに行く」と力強いメッセージをのせ、その言葉にどれだけの人がすくわれたことか分かりません。

でも尾田さんは、言葉だけで終わりませんでした。

 

その直後、個人で8億円を熊本に寄付

さらに集英社と協力し、ONE PIECEの単行本売上の一部を義援金に。

寄付総額は約11億円(2016年時点、個人+集英社等)もなりました。

 

そして2017年には、熊本県とともにプロジェクトの構想を進行。

画像引用:熊本復興プロジェクト公式サイト

2018年から本格スタートし、銅像プロジェクトが形になっていきます。

さらにスゴいのが、銅像すべてのデザイン・ポーズ・表情を尾田さん自身が監修していること。

チョッパーが動植物園に、ロビンが震災ミュージアムにいるのも、尾田さんのアイデアなんです。

 

監修料はすべて無償提供

さらには、制作費の一部も個人で負担しているとされ、まさに“仲間を助けるルフィ”そのものです。

ちなみに寄付はルフィ名義だったそうですよ。

 

2023年以降も、その支援は続いています。

2026年の復興10年展に向けて、新イラストの寄贈や展示協力など、今も最前線で熊本を支える存在です。

これまでの尾田関連の支援総額は15億円超(※公式には一部非公開)。

まさに“漫画のちから”をこれでもかという程みせてくれた歴史に残る出来事だと私は思っています。

 

熊本復興プロジェクト10年展とは?開催日や展示内容まとめ

熊本地震から10年。

そして、プロジェクト発案からも10年――。

 

そんな節目の年にあわせて、熊本県で開催される特別な展覧会が発表されました。

その名も、「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト10年展」

画像引用:熊本復興プロジェクト公式サイト

開催日時と場所の詳細について

「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト10年展」

会場:熊本県立美術館 本館(熊本市中央区二の丸)

開催予定:2026年3月20日(金・祝)~5月24日(日)

展示時間: 午前10時00分~午後5時00分

入場料:無料

混雑時の入場制限も予想されます。 

熊本県立美術館公式サイトで最新情報をチェックしましょう。

 

展覧会のコンセプトと展示内容について

 

「SHI-RU-SHI(しるし)」

ワンピース23巻で描かれた“仲間の印”をモチーフにしています。

 

<展示内容>

  • 「麦わらの一味」の銅像の制作過程など、ここでしか見ることのできない展示
  • 「ONE PIECE」の名場面が復興のシーンと溶け合う特別なイメージシアター

熊本復興の軌跡を「見て、知って、体感する」特別な展示がみられるそうです。

 

10年間のプロジェクトの歩みをたどれるパネルや資料も登場。

  • 銅像の制作過程
  • 尾田さんの監修スケッチ
  • スタンプラリー
  • イベントの記録

以上のものが予定されているようです。

ここでしか見られない内容がもりだくさんですね。

 

画像引用:熊本復興プロジェクト公式サイト

注目は、ONE PIECEの名シーンと熊本の復興をかさねた特別映像。

どんなものになるのでしょう。

麦わらの一味に元気をたくさん貰えそうですね。

そして、尾田さんが手がけた記念ロゴ「10」が雲を突き抜けるデザインも展示されます。

 

10年展は、ただの展示ではありません。

復興をともに喜び、次の未来へと進むための“しるし”です。

 

あなたも、ワンピースと熊本が重ねてきた時間を、目で見て、心で感じてみませんか?

 

まとめ

すっかり熊本の風景になじんできた麦わらの一味たち。

ただの観光オブジェではなく、郷土愛や復興への願いが込められた銅像となり、今後も熊本の未来を明るく照らしていってくれるのだと願ってます。

今や世界中で読まれるようになった「ONE PIECE

ルフィがたくさんの人の心を動かしてきたように、この復興プロジェクトはこれからも震災の恐ろしさや防災の大切さを含め、人々に教訓や希望を教えてくれるものとなるでしょう。

熊本県内外ふくめ、外国人観光客の方々にもぜひこのプロジェクトを知ってもらいたいと思います。

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