2025年の大阪・関西万博で話題をさらった、イタリア館「ファルネーゼのアトラス像」。
会期終了を目前に控え、驚きのニュースに飛び上がりたい気持ちを抑えながら記事にしました。
なんと!アトラス像がもう一度、日本でその姿を見せてくれることになったんです!
そうなんです!!
閉幕後すぐにイタリアへ帰ってしまうのではなく、大阪で展示される事が決まったんです。
\万博・イタリア館で記者発表をおこないました👏/
#イタリア館の至宝展「2025 大阪・関西万博」イタリア政府代表#マリオ・ヴァッターニ さんと大阪市の #横山市長 が「ファルネーゼのアトラス」の前でパチリ📷… pic.twitter.com/TM9OvXLim9
— 特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」 (@italia_expo_ten) October 10, 2025
イタリア館の長蛇の列に耐えた方も、色々な事情で最初から諦めた方も、万博に行く事すらできなかった方にも、チャンスが再度訪れますよ!
こんなサプライズを閉幕間近で公表してくれるなんて、私はイタリアという国に対して感謝と感服の気持ちでいっぱいです。
皆さんイタリアと日本って長い文化交流があったことをご存知でしょうか?
今回国宝級の展示物が日本に運ばれたことも深く歴史と結びついた背景があったんです。
私はとても興味を惹かれ、この万博後の展示物の提供にも深く感銘を受けたので少し長くなりますが歴史を紐解きながら記事にしたくなりました。
もちろん、展示期間や場所もまとめてます。
なぜこの像が、再び日本で展示されるのか?
その背景には、多くの人に語り継ぎたくなるような物語がありましたので、ぜひお付き合いいただける方は読んでみてください。
国宝級アトラス像の貸出の背景
2025年の大阪・関西万博で、開幕当初からイタリア館の目玉として大きな注目を集めていたのが「ファルネーゼのアトラス像」です。
ナポリ国立考古学博物館の至宝といわれています。

この巨神アトラスが天球儀を支える姿をかたどった大理石の像は、アジア初公開。
日本初とかじゃなくてアジア初だったという事に私は驚きでした。
そもそもこんな国宝級の美術品を国外に貸し出すこと自体がとても異例だそうです。
それもイタリアから遠く離れた高温多湿な日本での公開となると、輸送や展示にかかるリスクやコストは計り知れません。
重さはなんと2トン、例えると「子象1頭分」「ミニバン一台」の重さみたいです。
保険や輸送費は、国家レベルの巨額投資とされるほど。
「なぜ、それでも日本で見せることを決めたの?」
そう思う方もきっといるはずです。
きっかけは、コロナ禍により予定されていた国際的な文化交流事業が中止となり、その代替として、イタリア側は「日本で本物を見せる」という約束を掲げていたそうです。
その約束を果たす場所として選ばれたのが、今回の大阪・関西万博。
私のイタリア人のイメージは「陽気でおおらかな自由人」だったのですが、「律儀」も付け加えられました(笑)
さらにイタリア政府は、「日本人の芸術への目のこえ方は本物を求める」との考えがあったようで日本人がそんな部分でも評価されていたとは光栄ですよね。
最長8時間の長蛇の列に並び続けてでも、芸術を楽しみたいという人々が実際いたことが物語っているなと感じます。
ちなみに、ドバイ万博で展示されたミケランジェロの『ダビデ像』はレプリカだったらしいですよ。
しかし!!日本には本物がやってきました!
万博が始まって間もない5月18日にミケランジェロの『キリストの復活』が追加で展示され話題に事欠かなった事は記憶に新しいですよね。

ファルネーゼのアトラス像をはじめ、カラヴァッジョ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ペルジーノ(後期追加)といった巨匠たちの名作がずらりと並ぶ展示が実現。
「まるで美術館がそのまま大阪にやってきたみたい!」とSNSでも話題になりました。
この大規模な貸出は、単なる展覧会ではなく、本物の芸術を通じて日伊の絆を再確認するための文化プロジェクト。
2015年のミラノ万博では日本館が高く評価されていたそうで、その恩返しという意味も込められているんだそうです。
大阪万博でのイタリア館の様な現象がミラノ万博の日本館でも起こっていたなんて、面白いですよね。
惹かれ合う部分もあるのかな(笑)
ちょうど10年前は仕事でミラノ万博に行っていた。
日本館がものすごい人気で、最高7時間待ちとかあったらしい。https://t.co/EBNaKFOIj0#10年前 pic.twitter.com/RzbwMLAw0n— TORI@還暦 (@m_torisan) September 29, 2025
万博後も大阪でアトラス像展示
ではやっとここで、万博後のアトラス像の展示についてご紹介しますね!
場所は大阪市立美術館。
日にちは10月25日(土)~1月12日(月・祝)という万博の興奮冷めやらぬ時期から年明けまでと約3カ月の期間。
関西在住の方が羨ましい限りです。
私も熊本から新幹線で日帰りで訪れようかと今からワクワク考えてます!
特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」
会期 :2025年10月25日(土)~2026年1月12日(月・祝)(65日間)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場 :大阪市立美術館 大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内)
観覧料 :一般1,800円 高大生1,500円 小中生500円
注意点
こちらの展示は日時指定予約優先制とのこと。
各プレイガイドで購入された方や、障がい者手帳等をお持ちの方も「天空のアトラス イタリア館の至宝」公式オンラインチケットにて日時予約をとる必要があります。
購入・予約は10月18日(土)10:00~
「天空のアトラス イタリア館の至宝」公式オンラインチケット
各プレイガイドでも購入可能です。
展示予定の名作
- ファルネーゼのアトラス像
- ダ・ヴィンチのアトランティコ手稿
- カラヴァッジョの「キリストの埋葬」
- ミケランジェロの「復活のキリスト」
- ペルジーノの「正義の旗」
まるで“第2の万博”とも言えるような豪華な展示になりそうです。
どれも日本では滅多に見られない本物ばかり!
会場では、イタリア館で好評だった「芸術が生命を再生する」というテーマに基づいた、没入型の空間演出が予定されています。
いやぁ~これは本当に観たいですね!
チケットが日時指定が必要との事で・・・
これはまた争奪戦になってしまうのでしょうか・・・そんな気配がするところです。
「あの感動を再び!」
「万博では観れなかったからリベンジを!」
そんな人たちにとって、絶好のチャンスがこの秋に訪れます。
希望が叶いそうで嬉しい。万博で生で見れなくて寂しがってた母をを連れて行くぞ!!イタリア、ありがとう!!!天空のアトラスイタリア館の至宝」が大阪市立美術館へ。#大阪・関西万博 https://t.co/EobLGPrPB5 pic.twitter.com/5XGmiLVwXe
— 小桃@台湾好き (@taiwan_momo) October 10, 2025
日伊の文化交流と展示の意義
ファルネーゼのアトラス像が日本に来た理由は、実はとても深いんです。
それは日伊の文化交流の歴史と、強い信頼のあらわれでもあります。
最初の接点は16世紀。
1582年に日本からヨーロッパへ渡った天正遣欧少年使節の中には、伊東マンショの姿がありました。
ローマ滞在中に描かれた彼の肖像画が、今回のイタリア館でも展示されており、当時の交流の証となっています。

そして1866年、日伊修好通商条約が結ばれて正式に国交が樹立。
特に、日本の蚕がイタリアの養蚕業を救った歴史は、両国の関係を深める大きなきっかけとなりました。
その後も、イタリアからはオペラ、映画、ファッション、料理が日本に。
日本からはアニメや職人文化がイタリアに――。
相互に影響を与え続けてきた歴史が今につながっています。
そして今回、アトラス像のような“本物”が日本にやってきたことは、そうした交流の積み重ねの結果とも言えるでしょう。
この像は、ただの彫刻ではありません。
紀元2世紀、約1900年前に制作されたとされ、アトラスが肩に担ぐ天球儀には、紀元前の天文学者ヒッパルコスが記録した48の星座が刻まれています。
まさに、芸術と科学、神話と知識の結晶なんです。
イタリア館のテーマは「芸術が生命を再生する」。
それにふさわしく、アトラス像は時代と場所を超えて、人々の感性を揺さぶる存在として展示されました。
ゼウスに反逆した罰として天空を支えるアトラスの苦悶の表情に、私はなんとも言えない息苦しさを感じたほどその威圧感に感情が高ぶりました。
私の小5の長男は歴史が大好きなのですが、このアトラスがなぜ天球を背負うことになったのかギリシャ神話の学習漫画を読んだ事で知っていました。
天球を背負うという事で罪を償うことになったという事が衝撃で印象的なシーンだったようです。
「俺も近くで観てみたい」と話した長男を今度は大阪市立美術館でのアトラス像と対面させたいと思います。
どんな気持ちになるのか聞くのが楽しみです。
芸術や物語が、時にもっと深く人の心を動かす。
そんなメッセージが、この展示には込められているのかもしれません。
過去と未来をつなぐ象徴、それが今、目の前にある。
そして私は国と国をつなぐのは、政治や経済だけじゃないというのを今回の大阪万博で強く感じました。
その背景にある歴史を学ぶことの大切さを自分ももちろん、未来を生きる子供たちに伝えていきたいと思います。