令和8年7月28日、夕方のご自宅でのこと。

夕食の準備をしていた、まさにそのときでした。

あの揺れが、突然やってきたのです。

「あ、地震。揺れてる。……やばい、大きい。」

そう思った瞬間には、もう立っていられませんでした。

最大震度7の震災。

地鳴りがして家が揺さぶられている感覚は、身がすくむような思いでした。

 

私が住んでいるのは、熊本市です。

震源に近い宇城市・八代・氷川町からは少し離れていたため、幸い自宅の断水や停電はありませんでした。

それでも、あの揺れの怖さは、震源から離れていても十分すぎるほどのものだったのです。

震源に近い場所にいた方たちは、どれほどの思いをされたのだろうと、揺れが収まった今も考えてしまいます。

想像するだけで、胸が締めつけられるような気持ちになりませんか。

実家のある南区(宇城市のすぐ隣)は断水と停電が数日続き、私は水を届けに行きました。

実際に「水が出ない」という状況を目の前で見て、その不便さと絶望感は、経験しないと分からないものだと痛感したのです。

宇城市や氷川町の近くには知り合いも多く、馴染みのある場所が被害を受けていることが、ただ悲しく、つらかったです。

この気持ち、同じ熊本の方なら分かってくださるのではないでしょうか。

 

この記事では、ニュースやデータだけでは伝わらない、震度7を実際に経験した人間の感覚をお伝えしたいと思います。

そのうえで、今回の経験から「これは本当に必要だった」と思った備えを、実際に使えるものとしてご紹介していきます。

「いつか自分の街にも来るかもしれない」と感じている方に、少しでも役に立てば嬉しく思います。

令和8年熊本地震で、私が経験したこと

2026年7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1の地震が発生しました。

宇城市と氷川町で観測された最大震度は、7です。

気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と命名しています。

 

このとき私は熊本市東区の自宅にいて、子どもたちも家の中にいました。

長男(小学6年生)は、ちょうどサッカーの練習に出かける直前で、まだ家を出ていないタイミングだったのです。

タイミングがずれていたら長男は一人であの揺れを体験する事になったと思うとゾッとしました。

 

揺れが来た瞬間、家の中はそれぞれ違う反応を見せました。

次男(小学3年生)は、避難訓練の記憶なのでしょうか、とにかく必死でテーブルの下に潜り込んでいたのです。

長女(年長、5歳)はパニックになって泣き叫び、私が抱きしめてテーブルの下へ引き込みました。

長男は下の子たちより落ち着いて行動できていて、その落ち着きに正直救われた思いがしました。

 

私自身も、あの揺れの中では立っていることすらできませんでした。

地鳴りがすごく大きかったこと、緊急地震速報が鳴っていたかどうかもはっきり覚えていないのです。

とにかく「早く収まって」という気持ちだけで、テーブルの下で小さくなっていました。

あの数十秒の長さは、経験した方でなければ伝わりにくいのではないでしょうか。

もうひとつ、揺れが収まったあとも消えなかったのが「また同じくらいの揺れが来るのではないか」という恐怖でした。

近所の人とも「またあるかもね、怖いね」と話す場面が何度もありました。

片付けをしようとしても、また揺れて崩れるかもしれないという気持ちが先に立って、なかなか手が動きませんでした。

このじわじわと残る恐怖感こそ、被災した人にしか分からない感覚なのだと思います。

熊本は10年前にも大きな地震を経験し、防災意識が高い土地だと言われています。

それでも、実際にあの揺れを経験して初めて、「自分の備えは全然足りていなかった」と思い知らされました。

備えていたつもり、というのが一番危ういのかもしれません。

揺れが収まって最初にやった7つのこと

揺れが収まったあと、私が実際に行った行動を、そのまま時系列で書いておきます。

とっさに何をすべきか分からない、という方の参考になればと思います。

 

① 怪我がないか確認&地震情報を確認

子供達、そして自分自身に怪我がないか確認しました。

アドレナリンが全開なのですが、「大丈夫?」「大丈夫だよ」と子供たちと声を掛け合い落ち着きました。

震える手でスマホの画面を確認したのですが、震度7~5という数字と県内の色々な地域名がでていましたが混乱していて正直あまり覚えていません・・・。

私の住まいは海は遠いので心配なかったのですが、沿岸部にお住まいの方は、津波情報をいち早く知る必要がある場面ですよね。

②部屋から外までの導線を確認し、外に出る

余震が続く可能性が高いので、まず外の安全な場所へ避難しました。

ドアが開くか、玄関まで歩いて行けるかを確認しました。

家具が倒れて通路をふさいでいないか、破損したガラスが落ちていないかなど慎重に動きました。

停電していたらブレーカーを落としてから家を離れることが消防庁から推奨されています。

地震で傷んだ配線や倒れた電気機器に復電した際、「通電火災」が発生することがあるためです。

 

③ 隣近所の高齢者宅へ声をかける

一人暮らしの高齢の方が近所にいたので、安全を確認しに行きました。

ケガなどないか、出入り口の安全確保も含めて、玄関を開けて大きな声で呼びかけ合いました。

幸い皆さんケガもなくホッとしたと同時に普段からコミュニケーションをとっておくことで、被災した際の助け合いに繋がる事を改めて実感した瞬間でした。

 

④ 車のガソリン残量に気づいて焦る

ここで、車のガソリンが半分以下だったことに気づきました。

真夏の停電でクーラーが使えなくなったとき、車の中で涼むという選択肢が使えなくなるかもしれません。

そのことに気づいた瞬間、一気に不安になりました。

 

⑤ 生活用水として、風呂に水を貯める

ガソリンを入れに行きたい気持ちを抑えて、まず室内に戻りました。

断水になる前に、少しでも生活用水を確保しておきたかったからです。

水道が出ていたため、断水に備えて生活用水として浴槽に水をためました。

大地震では給排水管が損傷している可能性もあるため、集合住宅などでは管理会社や自治体の案内を確認する必要があります。

⑥ ガソリンスタンドへ向かう

水を確保したあと、ガソリンスタンドへ向かいました。

すでに給油待ちの車で渋滞ができていましたが、入口で従業員の方が両手で大きくバツ印を作り、車を入れさせない対応をしていたのです。

安全点検のためか、混乱防止のためか、10年前の経験を踏まえた対応なのか、理由は分かりません。

ガソリンを入れられずに、帰宅することになりました。

 

教訓になったのですが、地震が起きてからガソリンを入れようとするのでは遅いんですよね。

大きな震災だと道路が損傷している場合や緊急車両が通行する場合もあり、渋滞が起こるような事態は避けなければなりません。

私は今回ガソリンを入れようと動いてしまいましたが、震災直後に渋滞を作ってしまう可能性のある動きはよくないと反省しました。

普段からガソリンが半分になったら給油を心掛けようと思います。

 

⑦ 家の中の被害を確認する

自宅に戻ると、部屋の中はぐちゃぐちゃでした。

テレビは倒れ、冷蔵庫やピアノまで位置がずれていたのです。

細長い本棚はパキッと折れて壊れ、キッチンの引き出しは全開になって中の物が散乱していました。

 

結果的に、私が住む東区では断水も停電もありませんでした。

それでも揺れた直後はそれを知る手段がなく、「止まるかもしれない」という前提で動くしかなかったのです。

この一連の行動の中で、「備えていたつもりで、実際は全然足りていなかった」ということを、何度も思い知らされました。

 

断水・停電は数日で終わらない

10年前の熊本地震のデータを振り返ると、断水は44万戸を超え、熊本市の水が完全に戻るまでには本震から2週間かかりました。

電気は多くの地域で2日後に復旧しましたが、都市ガスの復旧にはおよそ15日かかっています。

この数字、あらためて見るとかなり長いと感じませんか。

 

今回の地震でも、停電は約4万8000戸、断水はおよそ8万4000戸に及びました。

八代市では都市ガスが約8900戸で停止しました。

ガスの復旧見通しは8月3日、地震からおよそ1週間後とされています。

 

私の実家は南区にあり、震源に近い宇城市のすぐ隣です。

実際に断水と停電が数日続き、水を届けに行きました。

目の前で「水が出ない」ことの不便さと、時間が経つほど気持ちが削られていく様子を見て、これは経験しないと分からないものだと痛感したのです。

自宅のある東区は断水を免れましたが、少し場所が違うだけでこんなに状況が変わるのだと、あらためて実感しています。

 

私が実際に経験したガソリンスタンドの給油制限も、「ライフラインがすぐには戻らない」という現実を裏付けるものでした。

ガソリンが少ない状態のまま、次にいつ満タンにできるか分からない不安を抱えながら過ごす時間は、想像以上にこたえるものです。

 

そして、地震直後に貯めておいた風呂の水も、時間が経つと少し濁っていることに気づきました。

断水していなくても地震の直後は水が濁る事があるのだな・・・と実感した瞬間でした。

 

真夏の被災は、いま熊本で起きている

気象庁が観測してきた震度7は、今回で8回目です。

これまでの発生月を並べると、1月・10月・3月・4月・4月・9月・1月。

もっとも暑い時期に近いのが2018年の北海道地震ですが、それでも9月6日でした。

 

猛暑のピークとライフライン停止が重なるケースを、日本はこれまで経験してきませんでした

そしてその「経験してこなかった事態」が、まさに今、熊本で起きているのです。

地震発生当日の熊本の最高気温は36.5度、翌日も34度前後でした。

予報では、猛暑がこれからさらに続くとされています。

これはもう、他人事ではいられないのではないでしょうか。

内閣府の資料によると、2016年の熊本地震では、建物倒壊などによる直接死が50人だったのに対し、災害が原因と認定された災害関連死は215人にのぼりました。

揺れそのものより、その後の避難生活で亡くなった方が4倍以上多かったことになります。

これは比較的過ごしやすい4月の話です。

猛暑のなかで断水・停電が続いている今、この数字がさらに大きくなる可能性は十分にあると感じています。

私自身、実家のある南区で断水と停電が続く様子を見て、いちばん怖いのは夜だと感じました。

眠っているあいだは自分で異変に気づけません。

子どもも、余震で神経をすり減らした親も、いつのまにか眠ってしまうものです。

その間に、静かに体から水分が抜けていってしまいます。

断水が重なれば、汗を流すことも、着替えることも、水分を摂ることも、同時に難しくなるのです。

 

地震でわかった、本当に必要だった備え

実際に部屋が崩れた光景を見て、そして揺れの中で何もできなかった経験をして、私が痛感した「本当に必要だった備え」を、ジャンル別にまとめます。

家具の固定・転倒防止

倒れたテレビ、ずれたピアノと冷蔵庫、折れた本棚。

どれも「まさか」の被害でした。

リビングのテーブルはしっかりしたものを選んでいたおかげで、テーブルの下に潜って助かった実感があります。

一方で、背の高い家具にはほとんど対策をしていませんでした。

 

横揺れと縦揺れでは、家具にかかる力の向きが違うということも、今回はっきり実感しました。

突っ張り棒だけ、耐震マットだけでは不十分で、組み合わせて使うことが前提だと考えたほうが安全です。

 

冷蔵庫用の突っ張り棒と使い分けるとより安心ですね。

我が家も冷蔵庫がズレていて横揺れの方向の向きが逆だったら倒れていたのではないかとゾッとしたので、今後の対策として冷蔵庫用を購入しました。

 

耐震マットは特にテレビに必要だと感じました。

テレビは簡単に倒れます。

我が家も倒れましたが後方に倒れていたので画面は無事でしたが、災害ゴミ置き場の家電は圧倒的にテレビが多かったです。

突っ張り棒で固定が出来ない分強力なマットを備えておくとよいですね。

 

 

 

照明の見直し

揺れているとき、天井のガラス製ペンダントライトが大きく揺れているのを見て、心底怖くなりました。

デザイン性を重視して選んでいた照明でしたが、地震直後に外し、軽量で割れにくいLEDタイプへの買い替えを決めました。

おしゃれさより、頭上に何もぶら下がっていない安心感を選びたいと思っています。

 

 

収納の見直し・ズレ防止マット

食器棚から物が飛び出し、キッチンの引き出しは全開になっていました。

「見せる収納」で並べていた食器が、特に被害を受けたのです。

今回の経験で、食器はしまう収納に変え、引き出しや棚にはズレ防止マットを敷くことにしました。

 

 

扉が簡単に開かない乳幼児向けの安全ロック等が地震の防災にも役立ちます。

とにかく扉が簡単に開いてしまうとスライドされて食器類が散乱してしまうんです。

 

ガソリン・車の備え

給油制限に遭い、思うようにガソリンを入れられなかった経験から、「半分減ったら入れる」を今後のルールにしました。

同時に、車が使えない場合に備えて、電気を自前で確保できる手段も見直しています。

 

 

ガソリンの保管・携行は消防法上のルールがあります

携行缶での購入・給油ができるかはガソリンスタンドに確認してください

 

水の備え・携帯浄水器

貯めておいた風呂の水が濁っていたことで、「生活用水」と「飲める水」は別物だと痛感しました。

長期保存水に加えて、断水時にその場の水をろ過できる携帯浄水器を備えておくと安心です。

私は飲み水は多く備蓄していました。

そのため断水のあった祖母の介護施設の方へ、持っていくことが出来て大変喜ばれてこういう形で活用できて本当に良かったと感じました。

 

地震後被災地では、確実に水が不足します

断言しますが、購入も個数制限かかってきます

必ず水は多めに備蓄してください

 

 

 

 

停電中の熱中症対策

私の自宅は停電を免れましたが、実家のある南区では停電が続きました。

エアコンが止まった部屋で、汗をかいたまま過ごす時間を実際に目にすると、電気を自前で持つことと、電気を使わずに体を冷やす道具の両方が必要だと感じています。

 

  • ポータブル電源。扇風機やスマホの充電を数時間から1日単位でカバーしてくれます。

 

  • 充電式サーキュレーター。コンセントが使えなくても卓上で使える静音タイプが安心です。
  • 冷感タオル・巻ける氷のう。電源不要で首元を冷やせるのが魅力です。
  • 汗拭きシート・体拭き。断水中に洗えない体をさっぱりさせてくれます。
  • LEDランタン・携帯ラジオ。停電した夜の明かりと情報源になります。

子育て世帯が備えておきたいもの

小さな子どもがいる家庭では、備蓄は「大人の分」だけでは足りません。

今回、5歳の娘がパニックになった姿や、揺れの後もしばらく不安定だった様子を見て、子どもにとっての備えは、体を守るものだけでなく、心を守るものでもあると感じました。

 

紙おむつ・おしりふき。いま使っているサイズを多めに備えておきたいところです。

おむつの防臭袋。断水中のごみ問題対策として役立ちます。

液体ミルク・使い捨て哺乳瓶。お湯も消毒も不要なのが心強いです。

離乳食・子どものおやつ。甘いものは子どもの心の非常食になります。

お気に入りのぬいぐるみやタオルなど、安心できるもの。物資ではなくても、子どもの心を守る備えとして欠かせません。

 

わが家の備えは、今夜から

熊本は防災意識が高い土地だと、私自身も思っていました。

10年前の地震のときは関東にいて経験していなかった震度7を、今回初めて経験して、「分かっていたつもりで、全然足りていなかった」と痛感しています。

 

すべてを今日そろえる必要はありません。

  • ガソリンは半分減ったら入れる。
  • 背の高い家具を固定する。
  • 頭上のガラス照明を見直す。
  • 食器の収納をしまう収納に変える。
  • 水は多めに備蓄。

この5つだけでも、次の週末の自分は今夜よりずっと安心できるはずです。

被災された地域が、一日でも早く落ち着きますように。

そして、あの日のような恐怖を、少しでも減らせる備えを、今夜から一緒に進めていけたらと思います。

 

参考にした情報

気象庁「令和8年7月28日16時27分頃の熊本県熊本地方の地震について」

首相官邸「令和8年熊本地震について(令和8年7月28日)」

内閣府「災害関連死について」

国土交通省「水道施設の被害状況等について」(令和8年7月29日時点)

総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況」